2025/01/30

バレンタインの愛で未来を変える

カカオ農家への支援が必要とされている状態にこそ、問題がある

近年、チョコレートメーカーが取り組むカカオ農家への支援やプロジェクトが話題になる一方で、カカオ農家を取り巻く状況はむしろ悪化しており、依然としてカカオ農家の困難な状況は続いています。

真面目に働いていてもカカオの生産で得られる収入が少なく、子どもたちを働かせなければならなかったり、生産コストを賄えず借金を抱えたりするケースも少なくありません。

2024年、気候変動の影響は異常気象となって、世界のカカオ生産の8割を担う西アフリカを襲いました。度を超えた大雨や干ばつによるカカオの不作はもちろん、人々の暮らしが危ぶまれる状況下で、ロンドンやニューヨークの先物取引市場ではカカオの取引価格は乱高下。利益を得たのはトレーダー達です。

また、カカオ農家よりも儲かるという理由で、若者たちが危険で環境負荷の大きな金の違法採掘に加担していることも大きな話題となっています。労働力不足だけでなく、カカオ農園の土壌汚染も深刻化しています。

こういった状況を変えようとフェアトレードを求める動きも年々大きくなっています。フェアトレードとは、主に途上国で作られたものを適正な価格で購入することで、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみのことです。

先進国側のブランドやメーカーは、経済的、社会的、環境的基準を満たした製品であることを保証するフェアトレード認証制度を利用するほか、自社でサステナブルな調達基準を設けるなど、社会的責任を果たしていることを公表しています。

そして、市場よりも高い買取価格に加えて、様々な支援も行われています。
加工工場や倉庫の建設、苗木の配布や農業指導、学校建設や教育用品の寄付などの支援により、生産者達は組合や地域コミュニティの経済的・社会的・環境的開発に活用していると言います。

カカオ農園に対するフェアトレードの取り組みは1990年代に始まったと言われていますが、これらの支援が終わる気配は今も感じられません。

いつまでたっても「支援」が不要にならないという現実は、「支援」では届かない根本的な部分に課題があるからだと考えました。

KAISEI chocolate laboratory が取り組むこと

では、私たちに何ができるか?考えて出した答えは、支援や特別な仕組みがなくても、カカオ農家が不安なく生活できる価格で買い取るという、すごくシンプルなものでした。そしてそれは、当たり前のことです。
一般的にカカオの国際価格はロンドンやニューヨークの先物市場で決まり、そこには生産にかかるコストすら反映されることはありません。
私たちを含め、カカオ業界がやるべきことは、支援ではなく、そもそも相手が困るような安すぎる価格での取引を辞めること。それを続けている限り、チョコレートメーカーはもちろん、何も知らない消費者も、カカオの農家を苦しめることに加担してしまっているのです。

KAISEI chocolate laboratoryが扱うカカオ豆は、カカオ農家との直接取引にこだわり、価格決定の主導権を農家さんに委ね「この値段だったら喜んで売りますよ」と言ってくれる、いわば言い値で買い取っています。現在、台湾、ベトナム、タイのカカオ農家と直接取引を行い、さらにフィリピンの農園とも話を進めています。

アジアのカカオ農園は、カカオ産地の中では日本から近く、直接足を運び農園を見ることも、生産者と会って話すことも容易な地域です。さらに、食や文化など、日本人と感覚が近いこともあり、求めているカカオ・チョコレートのイメージを掴んでもらいやすく、おいしさが分かり合えます。直接、農園のある町や村を訪れるため、その地域の物価や農家の暮らしを知ることができ、取引しているカカオの価格が現地でどれくらいの価値があるものかどうか、肌感覚で確かめることもできます。

また、カカオ農家を決める時に一番大切にしていることは、その人達がチョコレート好きで、カカオ栽培を楽しんでいること。また、児童労働を行わないことはもちろん、栽培方法についてもそれぞれの農園が無農薬やオーガニックに取り組み、農園の周りの環境などへも配慮するなど、カカオや環境を大事に扱っていることも重要です。
「生産者の顔が分かる」を越えて、人としてつながり、重要なパートナーとして一緒にチョコレートを作っています。

おいしさがすべての決め手となる

私たちのチョコレートは、カカオ豆と砂糖だけで作られています。
台湾産のカカオ豆で作るチョコレートはポリフェノールが多めでまるでブドウみたいな味、タイ産は青りんごみたいにちょっと酸味が強くてさっぱり…など、カカオ豆の個性を感じ取ることができます。食べる人の好みはもちろん、同じ人でも体調や気分によって選ぶ楽しさがあります。

誠実に作られたカカオ豆をそれに見合う価格で仕入れ、シンプルに、安心できる材料だけを使って丹念に仕上げるチョコレート。市販品のチョコレートと比較すれば価格は高いかもしれませんが、食べればその価値を感じてもらえるようなおいしさを目指しています。

カカオとチョコレートの価値を理解し、身体にも環境にも良い、そしてカカオ生産者から消費者まですべての人が幸せでいられる、そんな心地よいチョコレート選びがあたりまえになる。そのスタートが、おいしさだと思うからです。

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販売価格:¥540(税込)

Origin Philippines

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Origin Vietnam

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Origin Vietnam bitter&fruity

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この記事を書いた人author

牛嶋 麻里子 -Ushijima Mariko-カカオと仲良くしたいライター。

17歳で出会った"フェアトレード"をきっかけに、資本主義的な正しさに疑問を持つ。特にカカオの抱える課題とその仕組みを学ぶ中で、人間とカカオのいい関係とは何か考えるようになる。カカオの持つ文化的・生態的なおもしろさ、気候変動やカカオの価格など、様々な切り口でカカオをワークショップ等を通して紹介している。NPOやフェアトレード企業を経て、現在はフリーライター。チョコレート検定チョコレートプロフェッショナル(上級)/初めてのカカオ畑はフィリピン。