2026/02/01

バレンタインの愛で未来を変える

カカオ農家への支援が必要とされている状態にこそ、問題がある

近年、チョコレートメーカーが取り組むカカオ農家への支援やプロジェクトが話題になる一方で、カカオ農家を取り巻く状況は依然として予断を許さない状況が続いています。

真面目に働いていてもカカオの生産で得られる収入が少なく、子どもたちを働かせなければならなかったり、生産コストを賄えず借金を抱えたりするケースも少なくありません。

特に2024年から2025年にかけては、気候変動による西アフリカでの不作が続き、ロンドンやニューヨークの先物取引市場ではカカオ価格が歴史的な乱高下を見せました。市場価格が高騰したとしても、その利益が末端の農家に適正に還元されるとは限りません。むしろ、不安定な相場は農家の経営計画を困難にし、持続可能な生産を脅かしています。

また、カカオ農家よりも儲かるという理由で、若者たちが危険で環境負荷の大きな金の違法採掘に加担してしまう問題や、農園の土壌汚染も深刻化しています。

こういった状況を変えようとフェアトレードを求める動きは定着しつつありますが、「支援」がいつまでも必要とされる現実は、根本的な構造に課題があるからだと私たちは考えました。

KAISEI chocolate laboratory が取り組むこと

では、私たちに何ができるか? その答えは、支援や特別な仕組みがなくても、カカオ農家が不安なく生活できる価格で買い取るという、極めてシンプルなものでした。

一般的にカカオの国際価格は先物市場で決まり、そこには生産コストすら反映されないことがあります。 私たちを含め、カカオ業界がやるべきことは、一方的な支援ではなく、そもそも相手が困るような安すぎる価格での取引を辞めること。それを続けている限り、チョコレートメーカーも、何も知らない消費者も、間接的にカカオ農家を苦しめる構造に加担してしまうことになるからです。

4カ国の農家と共に歩む、ダイレクトトレードの進化

KAISEI chocolate laboratoryが扱うカカオ豆は、カカオ農家との直接取引(ダイレクトトレード)にこだわり、価格決定の主導権を農家さんに委ねています。「この値段だったら喜んで売りますよ」と言ってくれる、いわば「言い値」での買取です。

2026年現在、私たちは台湾、フィリピン、ベトナム、タイというアジア4カ国のカカオ農家と直接取引を行っています。

アジアのカカオ産地は日本から近く、直接足を運び農園を見ることも、生産者と会って話すことも容易です。食や文化において日本人と感覚が近い彼らとは、求めているカカオ・チョコレートのイメージを共有しやすく、「おいしさ」の基準を分かち合えます。 直接、農園のある町や村を訪れることで、その地域の物価や農家の暮らしを肌で感じ、取引価格が現地で適正な価値を持っているかを確かめることができます。

カカオ農家を決める時に一番大切にしていることは、その人達がチョコレート好きで、カカオ栽培を楽しんでいること。児童労働を行わないことはもちろん、それぞれの農園が無農薬やオーガニックに取り組み、環境へ配慮しながらカカオを大事に育てていることが重要です。

私たちは「生産者の顔が分かる」を超えて、互いに重要なパートナーとして、対等な関係で一緒にチョコレートを作っています。

「健康」と「地域」をつなぐ、おいしさの循環

私たちのチョコレートは、カカオ豆と砂糖だけで作られています。

余計なものを足さないからこそ、カカオ本来の個性が際立ちます。台湾産はブドウのような芳醇さ、タイ産は青りんごのような酸味、フィリピン産やベトナム産もそれぞれの風土を映したユニークな味わいを持っています。

そして、このシンプルさは「健康」への近道でもあります。 私たちは神奈川県健康財団委託事業として「カカオから始める健康習慣」を実施するなど、嗜好品としてだけでなく、身体を整える食品としてのカカオの可能性も追求しています。豊富なポリフェノールを含む高カカオチョコレートは、心身の健康を支えるパートナーとなり得ます。

また、私たちの拠点は神奈川県開成町です。 あしがり郷瀬戸屋敷での活動や地域事業者との連携を通じ、アジアの農家から届いたバトンを、日本の地域社会へと繋いでいます。このチョコレートを選ぶことは、遠く離れた生産者の生活を支えるだけでなく、私たちの住む地域の食文化や健康をも豊かにする循環の一部となるのです。

誠実に作られたカカオ豆を適正な価格で仕入れ、安心できる材料だけで丹念に仕上げる。 市販品と比較すれば価格は高いかもしれませんが、食べればその価値と、背景にある物語を感じていただけると信じています。

自分自身の身体をいたわり、生産者の暮らしを守り、地域の未来も育む。 2026年のバレンタインは、そんな「三方よし」の心地よいチョコレート選びがあたりまえになる、そのきっかけになれば幸いです。

カカオの“生まれ”を贈る。5つのOriginを味わう、バレンタインアソート。

Happy Valentine's Day

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販売価格:¥2,700(税込)


この記事を書いた人author

牛嶋 麻里子 -Ushijima Mariko-カカオと仲良くしたいライター。

17歳で出会った"フェアトレード"をきっかけに、資本主義的な正しさに疑問を持つ。特にカカオの抱える課題とその仕組みを学ぶ中で、人間とカカオのいい関係とは何か考えるようになる。カカオの持つ文化的・生態的なおもしろさ、気候変動やカカオの価格など、様々な切り口でカカオをワークショップ等を通して紹介している。NPOやフェアトレード企業を経て、現在はフリーライター。チョコレート検定チョコレートプロフェッショナル(上級)/初めてのカカオ畑はフィリピン。