今年の夏も猛暑が続き、暑さだけでなく、大雨などによる自然災害にも注意が必要です。そして、いつの間にかチョコレートが値上がりしていて、お財布にも厳しい・・・
一見関係のなさそうなこの2つ、実は深いところで繋がっています。
チョコレートの値段が上がったのはなぜ?
日本のチョコレートで最も使われているガーナ産カカオの価格は、2024年4月に史上最高値を記録。なんと1年間で約3倍に高騰したと言われています。
世界的なインフレや円安だけでなく、背景にあるのは需要に対する供給量の不足です。それらの背景をもとに投機筋が動き、歴史的な乱高下も起りました。
カカオの需要は高まる一方で、生産量の減少が大きな問題となっているのです。
カカオ生産量の減少
カカオ生産量の7~8割を占めるとも言われているのが西アフリカ。
2023年、世界の2大カカオ豆生産国であるガーナとコートジボワールで、大雨による洪水や植物病害、さらにその後の干ばつと暑さや暴風などが残っているカカオの木を襲うことになりました。2023/2024収穫年度のカカオ豆の世界生産量は445万トンと、前年度比11%減少する見通しです。
また、フェアトレードラベルジャパンによれば、シーズンの終わりに約1トンの収穫ができていた土地から1〜2袋(60〜120キロ)しか取れないといったケースも報告されています。カカオ栽培で生計を立てるのがさらに難しくなるため、農家を辞める若い人が多いと言います。
カカオの2050年問題とは?
2050年までにカカオの木は絶滅する可能性があると言われています。カリフォルニア大学とアメリカの大手食品会社の共同研究によるもので、日本では「カカオの2050年問題」とも呼ばれています。
気候変動の影響が特に大きい地域を調べると、赤道に近い国々、つまりカカオベルトとも重なっていることに驚きます。話題に上がるのは西アフリカが中心ですが、カカオが栽培されている中南米、アジアなどの国々も例外ではありません。
カカオの生育条件は非常に厳しく、病気や害虫などの被害にも弱いため、地球温暖化による今回のような自然災害の影響がとても大きく出てしまうのです。
灌漑設備をはじめ、カカオの栽培環境を整えるための対策が急務とされていますが、カカオ農家の構造的な貧困状態のために、すぐに対策をとるのも難しいのが現状です。そしてカカオが栽培できなくなることは、カカオで生計を立てる数千万人の生活も脅かされているのです。
おばあちゃんになってもチョコレートが食べたい私にできること?
こう聞くと、私ひとりではどうすることもできないように感じてしまいます。
しかし、こんな時こそ、チョコレート好きとして「これからもチョコレートを楽しむには?」と、頭を切り替えて自分にできることを探してみましたので、ご紹介します。
1つめは、これから苦戦を強いられるだろうカカオ生産者の方々に、しっかりと対策をとってもらうためにも、カカオを作る人や地域を大事にしているチョコレートを選ぶこと。
2つめは、地球温暖化を抑えるために、自分の生活や仕事を見直して、できるだけエコな暮らし・脱炭素に繋がる選択をすること。
チョコレートが大好きな私たちだからこそ、やってみない手は無いと思っています。
参考文献
- 国際カカオ機関(ICCO)
- 日本経済新聞
- 財経新聞
- WIRED HP
- フェアトレードラベルジャパンHP